[Kuser] 運営系MLの設置について(was: Re: OSC の報告)

Satoru Matsumoto helios_reds @ gmx.net
2010年 9月 19日 (日) 20:14:23 UTC


松本です。

いいですね、こんな風に真剣にどうしたらいいか考えていこうとしている方がい
るのって。(^O^)

OWN の翻訳が待っていますので手短に…。

phanect wrote:

> 以下は私の個人的な私見です。
> 
>>> 「日本 KDE ユーザ会」という組織は、「内側」と「外側」を区別することを
>>> 志向する組織なのでしょうか?
> 「志向」するべきではないと思いますが、多少は「許容」してもいいのではない
> でしょうか。勿論「内側」に持っていることを減らしていく努力は必要ですが。

いや、別に志向しちゃいけないということじゃないですよ。

お店を作るとした場合、窓一つなくどんな店なのか外からは様子が伺えないよう
な店構えにして、会員制の「隠れ家」的な店にするというコンセプトもありだ
し、全面ガラス張りにして外からどんな店なのか丸見えにしてしまうというコン
セプトもありです。ただ、それぞれどんな客層を引き寄せるかは当然変ってくる。

> 私が言いたいのは、「いかなる場合においても、どんな理由があっても、全てが
> 公開されてなければいけない」という堅い考え方になってはいけない、というこ
> とです。
> # 松本さんの考え方がこのような考えだ、と認識しているわけではありません

私が openSUSE プロジェクトの一員だと自覚して物事に当たる場合は、簡単に
言ってしまうと「まずはオープンかつトランスパレントにしておくことを原則と
する。それができない場合は『例外』であり、例外として扱うには納得できる理
由が必要で、安易になんでもかんでも例外として扱わないよう十分に注意する。
また、例外とするならば、どうしても見せられない部分のみを除き、その他の要
素については可能な限り見せていくように努める」ということを念頭に置いてい
ます。で、これがプロジェクト全体の (こうしておかないと、結局はプロジェク
トがうまく回らなくなってしまう、という) 共通認識であると信じています。

これって「堅い考え方」に見えますか?

> もしかすると私の「非公開で議論すべきこと」の説明が十分でないのかも知れま
> せん。私としてはできるだけ非公開 ML は使わずに、セキュリティ上その他の理
> 由で、誰彼構わず公開してしまってはまずい情報だけをやりとりすると考えてい
> ます。
> 具体的にどういったものが非公開で行われるかわかりませんので、話が抽象的に
> なってしまいますが、非公開で行われるべきと判断された情報、即ち公開するこ
> とにリスクのあることを、全て不特定多数に公開することが本当に必要なのか
> な、と思います。

先の例でいくと、ガラス張りの店構え、キッチンもオープンキッチンで調理して
いる様子も丸見え…だとしても、トイレまでガラス張りの丸見えにしておかなけ
ればいけないというわけじゃない。そこにはちゃんと「見えないようにしておく
べき理由」があるわけです。

> 英語は決して得意ではないので、
> http://opensource.com/business/10/9/are-you-building-a-community-or-a-club
> の意図を十分に理解出来ているかは怪しい部分もあるのですが、もしかして、松
> 本さんは ML の話ではなく、スタッフ制度の是非についての話をされていますか?
> ちょっとそのあたり ML の話なのか、もっと根本的な運営体制に関する話なの
> か、主題がごちゃごちゃになってきているような気がしたので、ひとつ前のメー
> ルは「議論が横道にそれてません?」と言うつもりで書いたのですが、むしろ私
> 自身がそのあたりをさらにごちゃごちゃにしてしまったかもしれません(^^; 失
> 礼しました。

横道のように見えてしまうかもしれませんが、実は関係の深い話なので出してる
話題です。

組織や体制を作る場合、まずは Principle (基本方針、理念) を固め、そこから
ルール、実際に運用していく上での細かい手順へとブレイクダウンしていくのが
常道です。 細かい手順から先に決めていってしまうと、結局矛盾だらけのシス
テムが出来上がってしまい、混乱を引き起こしていくことになります。
Principle というのは「立ち返るべき原点」で、どうすべきか迷った場合にはそ
こに戻って考えられるよう、皆が共有しておく必要のあるものです。

まずは「『日本 KDE ユーザ会』が目指すもの」が何なのかを再確認しておかな
いと、ML の話もスタッフの話もブレブレとなってしまうでしょう。「〇〇とし
ておくべきだ」「○○ってことでいいなんじゃね?」という提案、そもそも見てい
るところが違っていれば噛み合わなくなってしまいますよね。

だから、ぶっちゃけて言うと「で、日本 KDE ユーザ会はどうなの? 飛び入りで
手伝ってくれるような人が出てきて欲しいの? それともそんなの待っててもア
テにならないから『ちゃんと責任持ってやってくれる人優先』で進めるの?」と
いうことが知りたかったわけです。どちらを志向するかで「どうしておくのがベ
ターなのか」も変わってきてしまうからです。

●スタッフというポジションについて

上で説明したように、これも Principle がどうなのかで見方が変わってきます。

openSUSE だと通常は…

・まず、何かやってみたい、手伝ってみたいと思ったら、ジャンルに合った ML
  や IRC チャンネルに入って相談してみる
  # この際、Wiki の編集だとか翻訳ページの作成だとか、アカウント登録さえ
  # すれば誰でもできてしまうようなことであれば、そもそも断る必要すらなく
  # 勝手に始めてしまって OK

・その「やってみたいこと」をするためには何らかの権限付与が必要な場合、大
  体のことについては「じゃあお願いね」って感じで権限が付与される。ただ、
  その権限の種類によっては「とりあえずこの部分だけは責任持ってね」と条件
  が付く場合もある
  # ていうか、ちょっと様子が知りたいと思って聞いてみただけなのに、さくさ
  # く権限割り当てられて「良かった、やってくれるって人が現れて!」と言わ
  # れ、逃げるに逃げられなくなるというパターンが多い (^ ^;)

・誤解や不注意で「うっかり」が起こると困ってしまうような事の場合は、ある
  程度経験や実績を積んでもらったうえで権限を与える
  # これはもうけっこうレアなケース。他にやるっていう人がいなければ、いき
  # なり現れた人だとしても「私がやります!」と言ってくれさえすれば、大体
  # まかせちゃう。「It's better than nothing」という考え方ですね。

・インフラ管理だとかクリティカルなことの場合は、責任とセットにする必要が
  あるので Novell の Employee のみに権限を与えるようになっている
  # ただ、これにしてもちゃんと責任を果たすと宣言し、なおかつ責任能力があ
  # ると認められれば、おそらくリジェクトされないと思います

…みたいな感じです。それぞれ担当分野の異なるチームというものはあるんです
が、特定のスキルを持っていないとできないような作業をするようなチームであ
れば最初は「見習いから始めてね」という感じになると思いますが、本人に勉強
してみたいという意欲があるのであれば、その時点でスキルを持っていないとし
てもそれが理由でリジェクトされることは多分ありません。

そうでないチーム(特に上級のスキルに依存しないもの)であれば、チームに入り
たいとリクエストすれば、「じゃあ、Wiki にチームのページがあるから、そこ
に名前追加しておいてね。好きなところから始めてくれていいんで、何か分から
ないことがあったらいつでも相談してね」って感じで、気楽なもんです。リクエ
ストをすっ飛ばして勝手に自分の名前を書き足したとしても、手伝ってくれるん
であれば誰も文句言いません。

原則は、「こうしたい」「こうするべきだ」と思ったら、誰かに断る必要ないん
でどんどん勝手に始めちゃってください。勝手にいじられちゃ困ることだった
ら、勝手にいじれないように制限かけてあります。もし制限がかかっていて思う
ようにできないことに手を付けたいなら、その時は相談してね…という感じです。

で、こういう、いつでも誰でも好きなところから入ってきてくださいね、という
雰囲気、環境を守るために、見たいと思ったら誰でも自由に見たい情報を見るこ
とができるようにしておく必要があるのです。

openSUSE プロジェクト/コミュニティの全員が本当にこういう認識を共有してい
るのか?と問われたら断言はできませんが、openSUSE をより良いものにしてい
きたいと思って関わっている人たちはだいたい同じ思いを抱いていると思います。



これはけして、「…だから日本 KDE ユーザ会もそうしろ」と言っているわけじゃ
ありません、念のため。

先に書いたように「どうなっていきたいのか」で「どうしていけばいいのか」は
変わってきて当然です。ただ自分は「正式なスタッフでなければ○○できない」と
いうような雰囲気が漂っているコミュニティは好きじゃないってだけです。
# なにせ、openSUSE の中でも「Board 選挙に投票できるのを Member だけとし
# ているのはおかしい。いいじゃん、投票したい人全員に投票させてあげれば」
# と言い張っている人間ですからね(笑)

# ああ、「手短に」のはずが長くなってしまった…。(^ ^;)

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